ウォールナットと言えば、家具の世界では欠かせない大人気な木材。ワイルドな木目とブラウンの濃淡が美しくかっこいいですね!イームズの商品にも無くてはならないもの。
今回は無垢と突板(つきいた)、オイル仕上げとウレタン仕上げの違いについてです。
写真の上がウォールナット突板(つきいた)、下がウォールナット無垢(むく)です。
木口(こぐち。断面のこと)を見ると、突板は水平に何層も重なった状態となっています。これは、合板という人工的につくった板です。ラワンやシナ、バーチといった素材を何層にも重ねています。
表面にだけ、ウォールナットを薄くスライスした「突板(つきいた)」を貼った状態です。
厳密にはこの表面に貼った薄い部分だけを突板と言います。
合板に突板が貼られたものを「天然木化粧合板」と言うのが正式です。
一般的には突板と呼ばれています。イームズのDCMやLCW、ラウンジチェアなどがこれを使っていますね!
一方、ウォールナット無垢ですが、こちらも木口はアーチ状に積層になっていますが、これは自然にできた、いわゆる年輪です。
無垢は丸太を削り出した100%純粋な木材です。同じ木目は2つとない、まさに唯一無二の天然素材です。
一番の違いは、、、 やはり価格です。
削り出すということは捨てる部分も多く、1本のウォールナットの木からとれる材料が限られています。しかもウォールナットは節も多く、厳選される木材でもあります。
そのかわり、無垢でしか味わえない独特の肌触りや高級感を持っています。
また、無垢は湿度の変化によって割れや反りが生じやすいというデメリットがあります。
突板にはそれがほとんど生じません。合板自体が木の繊維を縦横交互に貼り合わせれているので、とても安定しています。
次にマットウレタン仕上げとオイル仕上げの違いです。
(色が違って見えるのは天然素材による固体差です)
左側のマットウレタン仕上げですが、家具では多く使われる仕上げです。
ウレタンの膜でコーティングすることで木肌の色抜けを予防したり、水分の吸排出を極力抑えます。また熱にも強くなります。
ピカピカに光沢を出す仕上げと、つや消し仕上げがあり、写真はつや消し仕上げとなります。
パッと見、オイル仕上げと見分けがつきませんが、触り比べるとわずかに、本当にわずかな違いですが、突板の方がツルっとした感触があります。
透明な膜があるため、結露したコップで輪ジミができる心配がありません。デメリットとしては木の肌触りを感じにくいこと。
一方オイル仕上げはコーティングではなく、油分を染込ませた仕上げになります。
仕上がりが極々自然で、サラリとした手触りです。無垢のオイル仕上げの魅力は、木そのもののあたたかみ、肌触り、高級感です。
デメリットとしては水染みが起きやすく、結露したグラスの輪ジミが嫌いな人は要注意です。
また、定期的にオイルを塗るというメンテナンスが必要で、経年変化により変色もします。
新品の時は濃いブラウンでも、時間と共に明るめになり、少し黄色味が出てきます。これをウォールナットの黄変(おうへん)といいます。
特にオイル仕上げによく見られる変化で、好きな人はこの黄変を待ち望んでいます。
黄変が嫌いな人でも表面を均一に研磨すると、新品のように蘇ります!これは無垢だからこそできる大きなメリットです。
もちろん、プロの技術が必要です。
一概にどちらが良いとも悪いとも言えません。
チャールズ・イームズやアルネ・ヤコブセン、アルヴァ・アアルトや柳宗理氏は突板の加工のしやすさと軽さ、そして安価な点を活かして積極的に使っています。
素材という要素の1つにこだわるのではなく、その『モノ』をどんな風に使っていきたいか、自分のライフスタイルに合っているかどいうかという広い視点で選ぶのが一番大切だと思います。
安価でメンテナンスが楽でデザイン性にこだわるなら突板。
質感と経年変化を楽しむ重厚な一生物なら無垢。
ただ、ウォールナットは価格の上昇が激しく、毎年驚くほど値上がりしています!ローズウッドのように規制がかからないか心配です。
もしウォールナット無垢の家具をご検討中なら、早めの決断が必要かもしれません!