スタンダードチェアの魅力とイームズチェアとの比較
スタッフ
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ちょっと敷居が高いけど、今日はプルーヴェの名作について書いてみようと。
スタンダードチェアをご存知でしょうか。フランスの建築家、ジャン・プルーヴェ(Jean Prouve)の代表作です。
ググれば情報がたくさん出てきますので、今回はスタンダードチェアがなぜ魅力的なのかについて、カタログやオフィシャルの言葉は使わずに考えていきたいと思います。写真多めです。お手柔らかに。


みなさんは、スタンダードチェアの初見はどんな印象でしょう。
きれい、スタイリッシュ、ちょっとかわいい。そんな感じでしょうか?

直線的なスタンダードチェアと曲線的なイームズチェア
直線的なスタンダードチェアと曲線的なイームズチェア
真横から見ると対象的なデザイン
真横から見ると対象的なデザイン

僕はイームズの対局にある椅子だと思いました。
直線的でどこか学校の椅子のような懐かしさとかわいさがあって。鉄とプライウッドという組み合わせがそう思わせるのかも。

でもまず、なんか美しいですよね。
この造形美をはっきり言葉にするのは難しい。笑 むしろ、言葉にしようとするのが野暮なのかも。
それを言っちゃあおしまいよ〜。(寅さん)

頑張って少しずつ紐解いていこうと思います。

まず、イームズチェアよりも脚長に見えますよね?
実測とかデータではなく、見た目の印象です。
脚の露出が高いです。イームズが膝丈なら、スタンダードチェアは膝上数センチ。
また、後ろ脚の三角形も長く見せてくれていると思います。背もたれまで真っ直ぐ伸びた脚と、下へのテーパード(先細り)の方が長いことがポイント。

脚のテーパーは若干下の方が長い
脚のテーパーは若干下の方が長い

椅子の弱点をクリアするために採用された三角脚は有名な話ですが、仮に上下反転していたら、とんでもなく短足に見えたでしょう。
僕くらい。(コンプレックス)

また、横から見た時の背中のラインが真っ直ぐで凛とした雰囲気。ゾクっとします。テーブルに収めた時の姿もめちゃめちゃ綺麗です。草刈民代さんの立ち姿みたい。

姿勢が良く凛々しい後ろ姿
姿勢が良く凛々しい後ろ姿

脚が長くて姿勢が良い。まるでスーツを着たダンディーな紳士!
でもどこかお茶目な印象も。たぶん、ツートーンカラーとか異素材が組み合わせられているからではないかと。スーツにTシャツとスニーカーを合わせているような小洒落た雰囲気を感じます。

まるで紳士
まるで紳士
イームズチェアの後ろ姿
イームズチェアの後ろ姿

さらに、座面や背もたれを固定するボルトの頭が隠すことなく表面に現れているデザイン。そう言えば学校の椅子もこんな感じでしたね。
プラスでもマイナスでもなく、まるでボタンみたい。ツーホールタイプのボルトの一種だと思いますが、かなり特殊なパーツかと思います。
ちょっと顔に見えるところにユーモアを感じます。

露出しているけど綺麗なボルト
露出しているけど綺麗なボルト

体に当たっても存在を感じにくい頭の緩い曲線。そしてその頭がピタッとウッドにくっついています。ウッドにわずかな凹みを作って過不足なく収まっているのか、単に頭がめちゃめちゃ薄いのか。
細部の仕上げの美しさが座り心地まで良くしていますね!素敵!

全体的に直線とフラットな面が多いせいか、建築的な印象を受けます。
建物も基本的に、直線とフラットな面の組み合わせなので、スタンダードチェアは違和感なく馴染むのだと思います。だから建築家の方に人気があるのかもしれません!

壁に合わせると背もたれの先端と脚のかかと部分がぴったり
壁に合わせると背もたれの先端と脚のかかと部分がぴったり

イームズチェアはというと、曲線が魅力的な椅子です。

シェル(座面と背もたれ)はどの角度から見ても曲線が交差し、いろんな表情を見せてくれます。実物を見ずにイームズチェアを描けと言われたら超難しい。
建築的なスタンダードチェアとは正反対。

曲線と直線の美
曲線と直線の美

仮にですよ、仮にイームズチェアを、曲線が美しいセクシーでアーティスティックなデザインと表現するならば、スタンダードチェアは凛々しくダンディでユーモアも兼ね備えたデザイン、といったところでしょうか!?

スタンダードチェア
 →ジョージ・クルーニー、 阿部寛

イームズチェア
 →ブラット・ピッド、 福山雅治

賛否両論の「否」が多そうですが、この話の流れでは悪くないような気がします。笑

想像してみてください。スタンダードチェア4脚をダイニングに並べたら、ジョージ・クルーニーが4人居る!痺れすぎて倒れそう。

イームズチェアなら、ブラット・ピットが4人…。 男でも惚れます。

何の話?笑

ジョージ・クルーニーが2人
ジョージ・クルーニーが2人
ブラット・ピットが2人
ブラット・ピットが2人

ちなみに、ちょっとややこしいですが、ブラット・ピットはスタンダードチェアの大ファンらしく、ヴィンテージをコレクションしているとか。

せっかく撮ったので、ジョージとブラットの脚の裏はこんな感じ。

スタンダードチェアとイームズチェアの前足の裏
スタンダードチェアとイームズチェアの前足の裏
スタンダードチェアとイームズチェアの後足の裏
スタンダードチェアとイームズチェアの後足の裏

やっぱりアレ必要かな…。


今回スタンダードチェアを撮っていて、真横、真後ろ、真正面も特徴があって良かったのですが、僕はこの斜め後ろの角度が一番カッコイイと感じました。

お気に入りの角度
お気に入りの角度

ついでに裏面のラベルも。オリジナルであること証明するプレートはイームズチェアのエンボスと同じような位置にあります。

スタンダーチェアとイームズチェアの座面裏
スタンダーチェアとイームズチェアの座面裏
スタンダードチェアのプレートとラベル
スタンダードチェアのプレートとラベル

いかがでしょう。
僕も自分のためにもジャン・プルーヴェのスタンダードチェアをじっくりと観察してみました。ジワジワとこの椅子の魅力が膨れ上がってきました。
とっくに魅力をわかっていたという方、その感性が羨ましいです。

イームズチェアよりも古い椅子。 通な人はNo.4と呼ぶ椅子。
元々学生のための椅子として作り始めたこともあり、リラックスできる座り心地よりも緊張感を絶やさないようなデザインなのかもしれません。

もし、「わかってないな〜」と思われた方やスタンダードチェアをお持ちの方、ぜひ、下の「メッセージを送る」欄から僕に御教示ください。


スタンダードチェアはバリエーションがいくつかありますが、最も人気があるのは、ナチュラルオークのディープブラック脚です。
それが、Standard of Standard Chair。

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