スタッフ
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初めてこちらのブログに登場します、弊社代表のタナカです。筆無精でなかなか文章に残すことが少ないのですが、今回はたくさんの方にお伝えしたい情報を仕入れて参りましたので、こちらに召喚されました(笑)

というわけで6月15日〜20日で訪れたデンマークの首都、コペンハーゲンに私とスタッフのニイツマの二人で訪れた海外出張の様子をご紹介していきます。そして今回のブログではCarl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)について、社長宅訪問の様子をお伝えしていきますね。

海外出張の目的となった、「3days of design」についてはこちらのブログもご覧ください。


コペンハーゲン郊外、フュン島へ

朝5時半、コペンハーゲン駅前の集合場所でカールハンセン&サン・ジャパンの皆さんが準備してくださったバスに揺られて約2時間、わたしたちが向かったのはフュン島にあるHellerup Manor(ヘレロップ城)でした。

デニッシュモダンの代名詞とも言えるCH24(Yチェア)でお馴染みの世界的家具ブランド、カール・ハンセン&サン社長宅訪問とのことで、晴天にも恵まれ期待と緊張でワクワクでした。

膨大な管理コストなどの面から前持ち主からデンマーク国に寄贈された教会(1200年頃建造)。

出迎えて下さったのは、カール・ハンセン&サン3世代目CEOのKnud Erik Hansen(クヌッド・エリック・ハンセン)さんと奥様のInger Marie Jensen Hansen(インガー・マリー・イェンセン・ハンセン)さん。

30000㎡の敷地にある教会(現在も結婚式などが行われるそう!)と自宅を囲む広大なお庭は、手を加えすぎない程度に整備され、この島で生まれたアンデルセンの童話を想わせる豊かな風景でした。

カール・ハンセン&サンのアウトドア家具は年中屋外に出しっ放しでもOK
お庭で育てたルバーブのジャムや手作りクッキーなどのおもてなし
愛嬌たっぷりポーリーのお出迎えを受けてから皆でティータイム

いよいよ歴史的建造物の社長宅内部へ

2002年に初めてこの建物に出会ったクヌッド・エリック・ハンセン(以下、社長とお呼びします)はすぐに購入を決めたものの、デンマーク文化庁による歴史的建造物保護法により、修復を専門とする建築家や職人に依頼せねばならず、3年の月日をかけて延べ面積1400㎡に及ぶ大規模な改装工事を行なったそうです。

かつて、デンマーク貴族が住んでいたという歴史を継承する覚悟を決めた社長の意志は、現在のカール・ハンセン&サンが継承する家具創りにも通じるものですね。

玄関を入るとすぐの広い廊下とPHアーティチョーク
社長のクヌッド・エリック・ハンセンさん

そしてその意志の通り、建物には典型的なスカンジナビアンスタイルがそのまま残されており、北欧の長くて厳しい寒さから守る1mの厚さの壁や幅広の無垢フローリング、建物の構造体を繋ぐとともに外壁の意匠にもなっている鋳物(外壁に見える黒い紋様のようなもの)など、温暖湿潤な気候に合わせた日本家屋とはまるで違う様式でした。

ハンス J. ウェグナーデザインのCH162(ソファ)
1938年デザインのFH38(ウィンザーチェア)
使い込まれたOW149(コロニアルチェア

本当にここに住んでいるの?!

現在はご夫妻と愛犬ポーリーの3人暮らしというご自宅の部屋数はなんと40室!

その全ての部屋がいつでもそのまま使えるようにスタイリングされており、その美しさに驚くばかりです。世界各国から招かれるお客さまが宿泊されたり、商談に使われることもあるそうで、プライベートとパブリックスペースが柔らかく区分けされているようでした。

とは言っても、25年ほど前にこちらへ移り住み、精神科医を続けてらっしゃった奥様と育てたご兄弟も数年前までこちらで暮らしてらっしゃったとのこと。貴重なアーカイブとして残しているダイニングテーブル裏面にあるお子さんの落書きも笑いながら見せてくださいました。

この場所で家庭的な温かみのあるインテリアを目指したという社長の意図にピッタリのエピソードですよね。

部屋から部屋へと繋がるインテリアスタイリング
圧巻のCH24(Yチェア)が14脚囲むダイニングテーブル!

めくるめくコレクションの数々

全ての部屋や広くて長い廊下に加え、浴室からトイレ(とは言っても家具も置かれた8畳はある広さ!)には、これまでのカール・ハンセン&サンの歴史あるコレクションがずらりと並んでいます。

Hans J. Wegner(ハンス J. ウェグナー)をはじめ、Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)やOle Wanscher(オーレ・ヴァンシャー)、Frits Henningsen(フリッツ・ヘニングセン)、Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)、安藤忠雄など、世界の建築家や著名デザイナーの作品が一堂に並ぶ住宅(いや、お城!)はもう、美術館そのもの。

それぞれの部屋は家具だけでなく、照明やラグ、小物まで全てがコーディネートされています。色々な場所に飾られている歴史を感じるお写真から、ご家族のストーリーを垣間見られたりもして、温かい気持ちになりました。

初夏の日差しが差し込む美しい窓辺
銀製のミニチュアCH24(Yチェア)
CH25にシープスキンは相性抜群!
格式あるキャビネット隣にCH24(ラッカー仕上)

日本では北欧デザインはナチュラルなイメージが強いかもしれませんが、こちらはどれも多種多様。

お兄さんから社長を引き継ぐまでの20年以上、貿易会社勤務で世界を飛び回っていた現社長が世界で集めてきたコレクションは、重厚なアンティーク品やシノワズリー、アジア雑貨やモダンな現代絵画まで様々です。

どれもバランス良く照明も合わせて配置されており、インテリアコーディネートの勉強になるお部屋の連続でした。

精巧なミニチュアコレクションも
貴重なローズウッドのSwivel Chair (ハンス J. ウェグナーデザイン)
オーク材ダイニングに合わせた真っ黒いCH20(エルボーチェア

屋根裏部屋は500㎡のオープンスペース

構造材と荒削りなパイン板材が露出するロフト部分は、12年ほど前にさらに改装を加えたというゲストルーム。

傾斜天井が迫るもののその低さが妙に心地よく、壁で仕切られることなく緩やかに繋がる各スペースに入る自然光が、優しい空間演出として手伝っているように感じました。「敷地内にある(隣接している?)墓地側には悪霊が入って来ないように窓を設けないんだよ!」というお話も、空間と童話がリアルに現れたようで面白かったです。

こんなにたくさんのCH07( シェルチェア)が囲むとは!
安藤忠雄デザインのTA001P(ドリームチェア)

Carl Hansen & Sønの「 & Søn」に込められた意味

カール・ハンセン&サンは、親子孫三世代に渡る家族経営企業です。現社長のお父さまが早くに亡くなってから、当時では非常識とも言えるお母さま(女性)が会社を引き継ぎ厳しい時代を乗り越えてきました。でもその姿を幼少期から直近で眺めてきた現社長だからこそ、今の繁栄に繋がっているように感じます。

デンマークの豊かな資源、そしてそれを高い技術で生かすクラフトマンシップを国外に流出させないように守る強い意志、そして名作家具を継承しながら新進デザイナーにも光を当てる経営手腕は、養子として迎え愛情を込めて育てられたご兄弟へこれから引き継がれゆくのでしょうね。(個人的想像です)

それは子育てから会社育て、そして文化を継承し国を育ててゆくデンマークの精神にも繋がっているのだろうと、温かいご家族のおもてなしを通じて学んだ時間となりました。また、当社NON VERSUSが日本の正規販売店としてお客さまにそのような家具をお届けする責任の重みも受け止めました。

そんな余韻に浸りながらご自宅を後にし、またバスに揺られて向かったのはカール・ハンセン&サンの本社・工場。

ですが今回は長くなったのでこの辺で。続きはまた後日、綴っていこうと思います。 

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