家具のがたつきについて
サガワ
サガワ

vanillaのサガワです。
今回は家具のガタつきについてお話しようと思います。
ガタつきというのはあるかないかで言えば当然ない方が良いものですが、家具とは切っても切れない関係性にあります。
言われてみれば、たしかに!と思うことも多い内容になると思うので、ぜひご一読いただけたら嬉しいです。

さて早速ですが、まず何故ガタつきが起きるかについてです。
一般的な椅子やテーブルのほとんどが4本脚、4点を床に設置するものだと思いますが、最小の数で安定する構造というのは3本脚と言われています。

例えば1箇所に点をつけるとします。
次にまた別のもう一箇所に点をつけ、点同士を繋げると線になります。
そしてもう一箇所に点をつけ、全て繋げることで平面が生まれます。

A,B,Cの3点を繋ぐと平面が現れます
A,B,Cの3点を繋ぐと平面が現れます

3次元的に点をつけても生まれるのはひとつの平面です。
しかし、これが4箇所以上になると平面が2つ以上存在することになり、どこか1点に奥行きが発生してしまうのです。

3点では平面だったものが、4点目が加わると奥行きが生まれます
3点では平面だったものが、4点目が加わると奥行きが生まれます

これが構造物として4本より3本脚が優れているといわれる所以です。

しかしだからといって単純にテーブルや椅子を3本脚にすればいいじゃないか!とはなりません。
もちろんArtek スツール60、フリッツハンセン アントチェア、カールハンセン&サン CH07などのように3本脚の名作チェアは数多く存在します。

artek (アルテック) 3本脚 スツール STOOL 60 コントラスティ 【90周年アニバーサリーモデル】
artek (アルテック) 3本脚 スツール STOOL 60 コントラスティ 【90周年アニバーサリーモデル】(姉妹店へリンクします)


それでも4本脚のチェアが一般的なのには「安定性」という理由が大きく関わります。

ただ構造物をまっすぐ立てるだけなら3本脚でも問題はありません…が、椅子もテーブルも人が使うもの。
それぞれ同じように体を傾けたり重心をずらしたりした場合、3本脚よりも4本脚の方が安定性が高くバランスを崩すことはありません。

実際スツール60も踏み台のように使うのであれば、3本脚でなく4本脚のモデルが推奨されており、こういった安定性の面から、椅子やテーブルの多くに4本脚が採用されているというわけです。

artek (アルテック) 4本脚 スツール STOOL E60 ハニーホワイト(姉妹店へリンクします)

ちなみにガタつきの原因はなにも家具だけではありません。
設置する床の影響も大きいものです。

例えばフローリング。
人が住む上で水平な床というのは当然に求められるものですが、それは全体を見た時の話。
家具を設置するとなった際の、3〜4点の家具の足先が設置する点で見た時に、完全に同じ高さであることはなかなかに難しいものです。

こちらの動画が例ですが、デスク前ではガタつかず、それ以外の場所ではカタカタと動いており、設置場所によってガタつきが発生/解消しているのがお分かりでしょうか。
フローリングも木材ですから、膨張収縮などの影響を受け、こういったことが起こりうるのです。


そんなガタつきへの対処ですが、まずひとつに「しなり」があります。

イームズ サイドシェルチェア DSR とイームズ コントラクトベース 

例えば当店でも人気の名作デザイナーズチェア、イームズシェルチェアDSR。
あまり知られていませんが、この椅子の安定性にはしなりが大きく関わります。

上の動画をご覧いただきたいのですが、最初座っていない段階では若干ガタついているのですが、そのあと座った状態では足先が全て床に接触して安定しているのがお分かりいただけるはずです。
これは荷重がかかると脚がしなることで4本の足先が全てしっかり床に設置することが要因です。

このように、家具というのはしなりまで計算してデザインされているものもあるのです。

実はテーブルもそう。当店でも人気のカリモク60+ ダイニングテーブル1500のような、設置する点を繋ぐと長方形になるダイニングテーブルも、ほんの数ミリではありますが全体がしなることでガタつきを補正、安定をもたらしています。
これはどんなダイニングテーブルにも言えることで、長方形のテーブルはその形がゆえに安定をさせることができるのです。

このようにしなりというのは4本脚の家具とは切っても切れない関係にあるのです


ただし、これが正方形や正円のテーブルは少し話が変わります。
設置する点が正方形となる場合、長辺が存在せず、構造が強固であるがゆえにしなりが発生しにくく、設置場所の影響をダイレクトに受けてしまいます

写真はマルニ60 ラウンドテーブル100
写真のマルニ60 ラウンドテーブルも脚の設置する点を繋ぐと正方形になるため、この例に当てはまります。

商品によっては足先にアジャスターをつけて対策するものもありますが、完全木製であるマルニ60 ラウンドテーブルのような家具などの場合はもう一つの方法、「フェルト」で対応をするようになります。

ですが全ての足先に同じ厚みのフェルトを貼っただけでは完全には改善しない場合も。

フェルト1枚の場合
フェルト1枚の場合

上の写真は4本の脚先すべてにフェルトを貼ったラウンドテーブルを、あえてガタつきが出る場所・角度に設置した際の浮いた脚先。
比較的硬めのフェルトを貼ったので均等に底上げされたような状態となり、脚先は浮いたままになっています。

一箇所だけフェルトを2枚貼りに
一箇所だけフェルトを2枚貼りに

そしてこちらが1箇所だけフェルトを2枚貼りにしたときの脚先。他の脚先とのバランスもとれてガタつきが解消されました。

このように時にはシンプルな方法でガタつきを解消させる場合もあります。
もしすでにお持ちの家具がガタつくという時は、床との相性や構造を考えた上で、出来うる方法で対処なさってみてください。
(当店でマルニ60 ラウンドテーブルをご購入いただいた方にはフェルトを同梱してお届けいたします。)


※ちなみにフェルトを貼る場合ですが、ぱっと見ではフェルトが見えない上に、ズレにくくなるので、家具の脚先よりも一回り小さいフェルトがおすすめです。

設置面にフェルトを付けました
マルニ60 ラウンドテーブルの脚先とフェルトのサイズ感

2023年10月追記

2023年9月に行われた仕様変更により、マルニ60+ ラウンドテーブルの足先にアジャスターが取り付けられました。
コの字形の脚部パーツの片側(4本脚中の2本)となります。
※仕様変更にともないフェルトの同梱は終了いたしました。

マルニ60+ 脚部アジャスター
マルニ60+ 脚部アジャスター

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