ミッドセンチュリーとは その2
ミッドセンチュリーがどこで、どうやって生まれたか。今回はそのお話です。
ミッドセンチュリーには第二次世界大戦が大きく関係しています。戦時中、軍事目的で様々な新技術が生み出されますが、イームズの家具に使用されている素材のプライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)もそのひとつです。
チャールズとレイは結婚後間もなくの1941年に、素材としての木材の可能性を試す実験を始めました。夫妻がさまざまな木材成型の技法を試す中で多くの発見をすると、アメリカ海軍からプライウッドの添え木、担架、グライダーシェルなどの開発の依頼が舞い込み、それらは第二次世界大戦で活用されました。
そして戦後、帰還兵が家庭を持ち、住宅・家具のニーズが増えていく中で、イームズ夫妻はプライウッドを用いて、手頃な価格ながら高品質でクッションの代わりに立体的な形を持つ、大量生産が可能な家具を創り出しました。
このように新しい技術によって立体的な設計ができるようになったこともあり、ミッドセンチュリー期に作られた家具には曲線が多くあしらわれています。さらに戦後のアメリカという開放感ある時代を体現するようなポップなカラーも特徴となっています。
イームズ夫妻のシェルチェア、エーロ・サーリネンのチューリップチェア、ジョージ・ネルソンのマシュマロソファ、ヴェルナー・パントンのパントンチェアなどなど・・・
今でこそ丸みのある家具デザインは当然の事のようになっていますが、技術がまだなかった頃、家具は直線で成り立っているものがほとんどでした。そんな中プライウッド、FRPの技術が世に出て来た事で、デザイナー達は思い思いの曲線、カラーを自らの家具に取入れていったのです。
次回、ミッドセンチュリーに関わったメーカーに続きます。