vanillaのムラカミです。
イームズラウンジチェアのレザー(本革)について。
ラウンジチェアに限りませんが、ハーマンミラー製品のレザーについてちょっとお話したいと思います。そもそも、レザーは鞣し(なめし)という工程を経ることで動物の「皮」から材料の「革」に変化させます。
皮は腐るし臭いもあるし、乾くとパッカパカに硬くなるためとても素材にはなりません。
これらの欠点を解消する工程を「鞣し」と言います。
鞣しには大きく分け3種類あります。
クローム鞣し(金属鞣し)、タンニン鞣し、コンビネーション鞣し。
イームズのラウンジチェアのレザーは数年前までクローム鞣しでした。
ツヤと柔軟性があり、伸びが大きく弾力があります。使い込むと革がいい感じで伸びてシワが増えます。伸びるのは比較的早かったです。
が、クローム鞣しに使うクロームは、焼却廃棄する際に毒性をもってしまうことがあるそうです。
環境への配慮を最優先するハーマンミラーとしては、それを使い続けるわけにはいかない!となりました。
FRPのシェルチェア(いわゆるヴィンテージイームズ)が廃盤になった経緯に似ていますね。
そもそも、ラウンジチェアを焼却って、絶対に考えたくないことですが。。。
そのため、現行のハーマンミラーのレザー製品は全てクロムを使っていないレザー、クロムフリーレザーになりました!
つまり、タンニン鞣しのレザーです。
タンニンは木や草のタンニン(渋)を使った昔ながらの鞣し方法で、手間や時間がかかり、一般的にクロム鞣しより高価になります。伸縮性が小さく、堅牢で、地球に優しい革となります。
※誤解のないように補足しますが、世界の革の9割はクロムレザーだと言われています。
決められた基準の中で作られているので使う分には全く危険性はありません。むしろ、クロム鞣し自体はノーベル賞ものの発見とも言われる優れた技術です。
わずかな可能性をどう捉えるかはメーカーの思い次第となります。
ハーマンミラーの製品では、『21』の品番で始まるレザーがこの標準のクロムフリーレザーです。
以前のレザーに比べると、ちょっとマットになり、シボも少なくタッチがとても柔らかいです。
人によっては安っぽくなったと思う方も多いですが、むしろ良い革になりました。
確かにタッチの柔らかさはフェイクレザーにもありそうな軽い印象ですが、それはフェイクレザーの完成度が高すぎるんです。。。汗
クロムレザーよりも伸びにくいので、ゆっくりエイジングを楽しめます。
ツヤは以前に比べマットな感じで、新品の間はそこがチープな印象を与えるのかもしれませんが、安心してください。フェイクじゃないのでツヤは出てきます。よく触れる部分はツヤが強くなり、ツヤの強弱が何とも言えない表情を見せてくれます。
でも実は、ハーマンミラーのレザー製品では2種類のレザーを選べます。
もう一つは『1R』で始まるMCLレザーというものです。
写真はレザーのサンプルです。
あきあらかにMCLレザーの方がシボが多いです。触れた感じもちょっと硬いというか、コシが強い感じ。
MCLレザーはオプション仕様なので、アップチャージがあります。
何が違うのか。
MCLレザーはいわゆるイタリアンレザーです。サンプルチップの裏面に「origin:Italty」と書いてあるので間違いないかと。
その響きだけで高級感を感じますね。セミアニリン仕上げの高品質な100%天然フルグレインレザー だそうです。
イタリアンレザーと言えば、カッシーナやアルフレックス、ドリアデなど、超が付くハイブランドが採用するまぎれもない高級素材。
ん~、、、 素材が良いのは分かるけど。
イームズのプロダクトには高級素材よりこんなユニークなアイデアの方が似合っていると個人的に思っています。
こちら、サンプルで作られ何らかの理由でボツとなったユニークすぎるラウンジチェア。
量産できないのでボツになる理由もわかる気がしますが、チャールズ・イームズ氏が生きてたらOKだったかも?
ちなみにMCLレザータイプは当店でもオーダー可ですが、受注生産のため3ヶ月前後お待ちいただくようになります。
標準のスタンダードレザーの場合、ウォールナットシェルタイプならオットマンとセットで特別なプライスとなっています。
税抜¥695,520
レザーをMCLレザーにすると ¥802,440。
※いずれも2018年9月現在の価格です。
僕は多分、21を選ぶと思います。
笑 なんて夢のような話しをしているのでしょう笑
他にもシェル(木部)の種類もいくつかありますが、次の機会にでも。