金継ぎで割れたマグカップが蘇り(ゴブレットマグ )
vanillaのムラカミです。
しばらくの間、フリーズしました。
30秒か3分か覚えていません。
先日、といっても昨年10月のことですが、ゴブレットマグを検品している時にうっかり割ってしまったのです。
コンクリートの床に落としました。
まるでスローモーションや走馬灯のようでした。
ドラえもんとシェンロンの顔が思い浮かぶくらいの出来事。
20代だったらぎりぎりキャッチできていたかもしれない、そんなことさえ思いました。
こんな時、『床がカーペットだったら、マグカップがプラスチックだったら』と、起きてしまったことを回避すること考えてしまうものです。
破片を集めながら始末書の書き方などを考えている時、ふと目に入ったものにまたフリーズしました。
壁の亀裂を修復したコンクリートの壁です。
そしてすぐに「金継ぎ」を思い出しました。
金継ぎとは、陶磁器の割れや欠け、ヒビなどの破損部分を漆で接着し、金粉で装飾して仕上げる伝統的な修復技法です。
金繕い(きんつくろい)とも言うそうです。
金継ぎは古くて高価な和食器などによく見られますが、ゴブレットマグのような洋食器に金継ぎしたらどうなるだろうと思うと、ドキドキしてきました。
あてがあったので、破片を紙袋にいれて早速持ち込みました。
依頼先は郡山市深沢にある、「うつわつくろい」のリンさん。
金継ぎと建築内装工事を手がける方。
vanilla郡山のすぐ近くです。
地元の方ならロムエンさんというカフェ兼食器屋さんで通じるかもしれません。
お問い合わせ先:ロムエン 佐藤倫さん(tel:0249347448)
メールでのお問い合わせ先:aquadooloop1101@gmail.com
ロムエンの方にゴブレットマグの破片をお見せしたところ、 「あ、これ使ってます!」と言われ、ビックリ。
そして感動。
リンさんにお渡しいただくことに。
後日リンさんから連絡がありました。
「随分豪快に割れてますね。金継ぎで修復はできますが、かなりお時間をいただきます」 と。
というのも、金継ぎは作業時間よりも乾燥時間の方がはるかに長いためだそうです。
でも、待つの。
まず、小麦粉と漆を混ぜた麦漆(むぎうるし)で破片を接着。
20日以上かけて硬化させる。待つの。
錆漆(さびうるし)で凸凹を埋める。
硬化したら研磨、これを3回繰り返す
黒呂漆(くろろうるし)で中塗り。
硬化後に研磨。これを4、5回繰り返す。待つの。
弁柄漆(べんがらうるし)を塗布し金粉を蒔く
真綿で磨いて完成!
漆を4種類も使い分けるそうです。
そして、家具の塗装と同じくらい、塗っては研磨、埋めては研磨。(カリモク60のKチェアのアームも同じような工程を繰り返します。)
乾燥時間を含めると3、4ヶ月かかるそうです。ただ 待つの。
そして見事に蘇ったゴブレットマグがこれ。
捨てようとさえ思っていたものが、元よりも魅力を増して蘇る。 なんて素晴らしい文化なんでしょう!
ちなみにかかった費用ですが、3,500円でした。
リンさん曰く、大小関わらず2,000円〜だそうです。
ゴブレットマグは約2,000円なので、新しく買った方が安いというのも事実。
これは価値観で大きく分かれるポイントでしょう。
また、今回この経験から思ったことがいくつか。
●僕の反射神経は相当ポンコツ。
●起きないように万全を期すより、起きた時にどう対処しプラスに転換するかを考える。
●ゴブレットマグは意外に知名度を上げている。
●失敗は終わりではなく、新しい何かの始まり。
●ネイビーにゴールドはプラミアムモルツのように高級感が増す。
直しながら使い続けたいと思えるモノ選びをしていきたいなと思いました。
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