今回は1960年代から作られ続けているKチェアについてカリモク60とオールドカリモクの違いをご紹介します。
2002年、デザイナーのナガオカケンメイ氏がロングライフデザインを現代に伝えていくためのプロジェクト「60VISION(ロクマルビジョン)」を立ち上げます。
その中でカリモク家具はKチェアやロビーチェアといった1960年代に生まれた家具の中から最も普遍性のあるデザインを選び抜き「カリモク60」として新たに販売を開始。
Kチェアは原型である「#1000番」が1962年に製造されてから現在に至までブランドを代表する商品として販売が続いています。
今回比較に使用するのは現行のカリモク60 Kチェア 1シーターブラックと1980年のカタログにも登場する市場ではオールドカリモクと呼ばれるもの。
アームについた傷がこの椅子の歴史を感じさせます。
アームの形状はオールドカリモクの方がやや平坦に感じます。
座面裏布。オールドカリモクはさすがに劣化が見られます。60では厚手の不織布が使われています。
オールドカリモクの座面は軽く押しただけで深く沈み込むほどバネ・クッション材・布地の全てに劣化が見られます。といってもカタログ掲載は1980年でも、下手をすればこの個体は1960〜70年代製の可能性もあるので、当然といえば当然の結果です。
ブランドプレートは60では右アームの側面、オールドカリモクでは座面フレームの裏にステッカーが貼付けてありました。ちなみにこのブランドロゴ、1987年にカタカナ表記からアルファベットの「karimoku」表記に変更され、さらにカリモク60は「カリモク60」表記になっています。 2012年にKチェア誕生50周年記念で販売されたKチェアのプレートはこの当時のステッカーを再現したものでした。
座面とアームの固定では、60ではダボを使用する事で外側から見える位置にあるネジ止めの箇所を減らしています。
Kチェアは販売開始からの50年間、基本的なフォルムは残しつつ、新しい技術や素材を取入れさりげなく進化を遂げています。定番のイメージを崩さず、より良い物造りをするという、カリモク家具のプロ意識が長く愛される理由のひとつなのかもしれません。
もし旅館、ホテル等、長く使われていそうなオールドカリモクを見かけた時は、ぜひ今回の内容を思い出しながら見てみてください。今までとは違った発見があって面白いかもしれませんよ。
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