クロサワの「ちょっとお話長くなっても良いですか?」カールハンセン&サンの113年の歴史編
vanilla郡山店のクロサワです。
皆さんこんにちは!今回は最近大人気のブログ「ちょっとお話長くなっても良いですか?」の第2弾!まぁ大人気というのは冗談ですが…(笑)インテリアにご興味がある方であれば一度は聞いたことがあるカールハンセン&サン。今回はメーカーの歴史を中心に深堀していきたいと思います。
カールハンセン&サンという家具メーカーはデンマーク、オーデンセ1908年10月28日に自身の名前を付けた工房から始まりました。当時はヴィクトリアンスタイルの重厚な注文家具が主流でした。小さな工房で手作業で高い品質、クラフトマンシップ、伝統が基本となっていました。
そして時は1915年軌道に乗った工房は事業拡大をし、モダンな機械を導入。職人と機械が肩を並べる工場へと進化しました。注文家具に加え、量産家具も少しづつ制作していくようになります。もうこの時代で現代の工場の姿に近づいていますね!
その勢いで順調かと思われた経営でしたが、1930年代に入り世界恐慌の影響で家具の消費が大きく落ち込むことになります。そこでカール・ハンセンは23歳の息子、ホルガー・ハンセンに経営を委ねます。若いホルガー・ハンセンは、熱意と斬新なアイデア、そして持ち前の商才をもって経営に着手します。そんな中であった若きデザイナー、それがハンス J. ウェグナーです。父親のカールハンセンは反対していたらしいですよ。「こんなに名無しのデザイナーと協働するなんて」って感じです。
しかしそれでもハンス J. ウェグナーと協働することになりました。そして伝説の年1949年。ハンス J. ウェグナーはオーデンセに3週間程滞在しました。その中で4つの椅子をカールハンセン&サンにデザインします。それが「最初の名作」として有名なCH22、CH23、CH24、CH25となります。全ての椅子に共通することは、木材から生み出される温かさ、曲線美、丈夫さなどの椅子に大切な要素が多く存在しています。それまでにはなかったデザインがカールハンセンをモダンへと導いたといっても過言ではありません。
これらの「最初の名作」の椅子は現在でも製造され続けていて、特に世界的に「Yチェア」としての愛称を持つCH24が人気となります。背もたれのパーツがY字に見える事からその愛称になりました。全体的に有機的なフォルムを持つこのCH24は1950年に販売が開始されてから今もなお代表作として人々に使われ続けています。
1958年、カールハンセンは創業50年を迎えます。好調に業績を伸ばしてきたカールハンセン&サンは多くの職人を抱え国際的に売り上げを拡大するとともに、デザイン界の流れを作り出したとしても認知されていきます。
1962年、躍動を続けたカールハンセン&サンに訪れた悲劇、ホルガ―・ハンセンの死です。しかしそんな状況にも負けず後継者となった人物、未亡人のエラ・ハンセンが会社を引き継いでいきます。当時まだ十代であった二人の子息、ヨルゲン・ゲアナとクヌッド・エリックを伝統ある親族企業の後継者として育成していきます。当時の世の中では異例の事だったと僕は考えます。
1963年、この年恒例のコペンハーゲン家具職人ギルド展においてハンス・J・ウェグナーは成形合板を駆使した新しい椅子、CH07を発表。発表当時にはかなり斬新なデザインだったこの椅子は一般の人々には少し早かったのかもしれません。1990年に復刻されてからは人気商品の1つにもなっています。今までのハンスの作品を見ると、木材の切り出しが特徴的であまり合板は使用していないのです。では何故にいきなり合板技術を使用したのか?この時代にアメリカのカリフォルニア州を中心に活動していたチャールズ&レイイームズの影響を受けて制作に至ったとされています。ここでつながるか!?といった感じがデザイナーのストーリー話において楽しい要素でもあります。
時は2002年に移り、エラとホルガー・ハンセンの次男である、クヌッド・エリック・ハンセンが、兄であるヨルゲン・ゲアナ・ハンセンから社の経営を引き継ぎ、CEOに就任します。生産施設をオーデンセの郊外に新設し、カールハンセン&サンの方向性をよりグローバルに変えていきます。コーア・クリント、オーレ・ヴァンシャー、アルネ・ヤコブセン、モーエンス・コッホなどの名を連ねるデザイナーたちのプロダクトもラインナップに加わります。
2013年、カール・ハンセン&サンは、最初の直営店であるフラッグシップ・ストアをコペンハーゲンにオープン。その後も世界各国にストアを展開し、グローバルに知名度を上げていきます。2014年4月2日にはハンス J. ウェグナーの生誕100年。それを記念し1955年にデザインされたCH88をミラノサローネ展で発表、ポールスミスとのコラボなど躍動的な活動を展開し続けます。そんな今までの活動もあり、現在では北欧家具の牽引的な存在でもあると僕自身感じています。
同じ2014年、功績をカールハンセン&サンはハンス J. ウェグナーの生誕100年を記念し、自社のロゴを変更。1950年にウェグナー自身がデザインしたロゴは1980年代半ばまで使用されていました。このロゴに戻すことでウェグナーの重要性を再確認することとにしたそうです。それだけハンス・J・ウェグナーはカールハンセン&サンにとって大事な存在という事ですね!
という事でざっと走り気味にカールハンセン&サンの歴史についてまとめてみました。いかがでしたでしょうか?前回も思いましたが、このブログは写真少なめですね…
このブログではこんな感じで少しニッチな世界をメインにしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。では次回お会いしましょう!