当店でも人気のカリモク60Kチェア。木肘が特徴的なカリモク60ブランドを代表するアイコニックなソファですが、2021年8月生産分よりアームトップ部のみ「ラバートリー材」から「ビーチ材(ブナ材)」へと仕様が変更となりました。
ただこの木材が変わりましたと言っても、具体的にどんな違いがあるのかは見てみないと分かりにくいと思いますので、今回はKチェアの写真をご覧いただきつつ、ご説明をしたいと思います。
まずはこちらをご覧ください。
これまで2002年から製造されてきたカリモク60ブランドのKチェアのアームにはラバートリー材(ゴムの木)が使われてきました。
ゴムの木ははっきりした木目がついておらず、プレーンな表面が特徴。天然木でありながらも比較的均一な木肌が揃う木材です。
カリモク60で使用されるラバートリー材はマレーシアで生産されているのですが、樹齢5~25年はいわゆる「ゴムの木」として樹液を採取。その後、ただ伐採して焼かれるだけだった木材を、家具用材として利用するようになったという経緯があります。
今で言うSDGsのような取り組みを、カリモク家具は昔から行っていたんですね。
カリモク60ブランドのKチェアのアームにはこのラバートリーが使われてきました。
ただ、さらに遡った1960年代当時は、国内産木材の需要が高かったこともあり、ビーチ材が使われていました。
今回の仕様変更はここに来てある意味先祖返りのような変化というわけです。
とは言え今回の素材の変更は手が触れるアームトップのみ。それ以外の部分はラバートリー材で継続しているので、時代に即した変化なのかもしれませんね。
※ちなみにこの国内産木材を有効活用する、という理念は同じカリモク家具の別ブランド「カリモクニュースタンダード(Karimoku New Standard=KNS)」に引き継がれています。
このブランドについて詳しくは別の記事でご紹介しています。
そもそもビーチ材とは
ビーチ材(ブナ材)とは、古くから家具用材料として使用されてきた素材です。木地は白っぽく、木目も細やかで優しく、軽く、自然な風合いをもつ木材として広く親しまれています。
では実際にアームをご覧いただこうと思います。
左はKチェアミストグレーに使われる「ピュアビーチ」カラーのアーム。こちらはアーム全てがビーチ材で作られています。ウレタン塗装がされていますが、艶感はなくサラサラとした自然な手触りが特徴的です。
右はスタンダードブラック、モケットグリーン、タープグリーン、タープブルーに使われるウォールナットカラーのアーム。
ここでいう「ウォールナット」はカリモクに限らないウォールナット材の家具の経年変化したウォールナットを再現した色味という意味でのカラー名となっています。
そのため素材は前述した通りアームトップは「ビーチ=ナラ材」、それ以外の部分はラバートリー材となっています。
こちらもウレタン塗装ですが、艶のあるビンテージ家具のような質感が特徴的です。
そして次はこちらの写真。
左は前述同様のピュアビーチですが、右は実店舗限定のサービス「パターンオーダー 」でお選びいただける「ピュアオーク」です。
オーク材は古くから家具や家の内装、扉などに幅広く活用され、King of Forest(森の王)と呼ばれています。
木目が美しく耐久性も良いのが特徴です。磨くと重厚な光沢がでるので、使い込む程味わいが出ます。
ビーチがややピンクがかった色に対し、オークはやや黄色、ベージュに近い色合い。Kチェアでお選びいただけるアームの中で最も高級ラインの特別なアームと言えるでしょう。
そしてさらに番外編。
左は言わずもがなのウォールナットカラーのアーム(アームトップはビーチ材)ですが、右は実店舗限定仕様の本革Kチェア「コールブラック」に使われるオーク材のアーム。
カラーはこれまたビンテージ家具がモチーフのビンテージチーク色となっています。
ピュアオークがオークの木色をそのまま活かしたカラーだとすると、こちらは色を入れることでオークの木目をより感じられるようにしたカラーと言えるでしょう。
うーん、渋い。
ちなみにこのほかにも同じアームトップにビーチ材、フレームにラバートリー材を使用したマットな濃いブラウン「モカブラウン」も存在します。
このカラーはマスタードイエローのKチェアに使用されるほか、パターンオーダーでもお選びいただけます。
このようにいろいろと寄り道をしてご説明をしましたが、結論を言いますとブナ材はラバートリー材に比べ導管が緻密かつ、滑らかです。そのためKチェアの特長であるアームトップの手触りが良くなりました…ということです。
ですが、だからといってこれまでのラバートリーのアームトップが悪いということでもありません。カリモク60発足当時の仕様という由緒正しいモデルとも言えるのですから。今後10年20年と経っていった先にはある種レアなモデルになっているかもしれませんからね。
いずれにしてもカリモク60のKチェアは形は誕生からほぼ変わらず、素材や技術は常に時代に合わせて進化しています。
今後もこういったアップグレードがされていくと思いますので、vanillaではその都度ニュースとして発信していきますので、よろしくお願いします。
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